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側弯症の原因を知る前に|まずは基本を整理
側弯症とは、背骨が左右のどちらかに曲がってしまう状態です。人の背骨は横から見るとS字のようにゆるやかなカーブを描いていますが、正面から見て曲がっている場合には、側弯症と触診されることがあります。 背骨の曲がり具合は、レントゲンを使って「コブ角」と呼ばれる角度で測定します。角度が10度以上だと、側弯症と判断されます。 側弯症には大きく分けて2つに分類されます。- ・構造的な側弯症:背骨の骨自体がねじれている場合。元に戻りにくく、医療のサポートが求められるケースも見られます。
- ・一時的な側弯(機能性側弯症):姿勢のクセや筋肉の緊張など、一時的な要因で起きる側弯で、原因が解消されると自然に改善する可能性があります。
側弯症の多くが原因不明|約8割が「特発性側弯症」
側弯症の約8割は、はっきりとした原因が分かっていません。このタイプは「特発性側弯症」と呼ばれています。 特発性側弯症は、発症した年齢によって以下のように分類されます。- ・0〜3歳:乳幼児期特発性側弯症
- ・4〜9歳:学童期特発性側弯症
- ・10歳〜成長が止まるまで:思春期特発性側弯症
原因が特定されている側弯症の種類
原因がはっきりしている側弯症は、以下のとおりです。これらは「症候性側弯症」とも呼ばれ、ほかの病気や体の状態が関係している場合があります。 以下では、代表的な4つの原因別の側弯症について解説します。先天性側弯症:生まれつき背骨に異常があるケース
お母さんのおなかの中にいる時期から、背骨の一部の骨が未発達だったり、異常な形で形成されていたりする場合に起こる側弯症です。多くは出生直後や乳幼児期に発見され、進行が早い傾向にあります。 定期的なレントゲン検査や整形外科での経過観察が重要です。場合によっては、早期に手術が検討されることもあります。神経筋性側弯症:脳性まひや筋ジストロフィーが関与
脳や神経、筋肉の病気が原因で筋力のバランスが崩れることによって起こるタイプです。代表的な原因疾患には、脳性まひ、筋ジストロフィー、二分脊椎などがあります。 体の支持機能が弱まることで、背骨が支えきれずにゆがんでしまうのが特徴です。進行性であることが多く、早期対応が求められます。変性側弯症:加齢にともなう背骨の変形
年齢を重ねることで背骨や椎間板、関節がすり減り、バランスを崩して側弯が進行するタイプです。特に女性や骨粗しょう症のある方に多く見られます。 腰や背中の痛み、歩行時のふらつき、脚のしびれなど、日常生活に支障をきたす症状が出ることもあります。機能性側弯症:姿勢や痛みによる一時的なゆがみ
背骨自体には異常がなく、筋肉の緊張や痛み、足の長さの違いなどによって姿勢がゆがんで見える状態です。 たとえば、ぎっくり腰や坐骨神経痛などによる一時的な痛みで体を傾けた結果、側弯のように見えることがあります。原因が解消されると自然に戻ることが多いため、医師の判断が大切です。誤解されがちな側弯症の原因|姿勢や重い荷物との関係は?
「姿勢が悪いから背骨が曲がった」「片側に重いカバンを持っているせいで歪んだ」といったイメージを持たれがちですが、実際のところ、側弯症のほとんどは明確な原因が分かっていない特発性です。 そのため、日常の姿勢や生活習慣が直接的な原因になるとは断定できません。とはいえ、猫背や左右に偏った体の使い方といった日常のクセが、すでにある側弯症を進行させたり、体のバランスを崩して痛みを引き起こしたりする可能性はあります。側弯症になりやすい人の特徴
側弯症は誰にでも起こり得る可能性がありますが、特に特発性側弯症は、特定のライフステージや体質と関係していると考えられています。以下のような特徴を持つ人は、発症や進行のリスクが高いとされています。思春期に多い:成長期に発症しやすい理由
側弯症の発症が最も多いのは、10~15歳頃の思春期。この時期は急激な身長の伸びによって骨格バランスが崩れやすく、側弯が進行しやすくなります。実際、10度を超える側弯症の発生率は全体の2〜3%とされており、その多くがこの年代に発見されます。女性に多い:男女差が出る理由は解明されていない
特発性側弯症は女児に多く、軽度では男女比が約1:5〜1:8。さらに進行性の場合は女性に多いことが報告されています。このため、特に思春期の女の子は定期的な検査が重要です。家族構成との関連:遺伝的な影響の可能性
遺伝の要素に関しては研究段階ですが、家族内に側弯症の患者がいる場合は要注意。 特発性側弯症には遺伝的な要素が関係している可能性があり、親や兄弟姉妹に側弯症の既往がある場合、子どもにも発症するリスクが高まると言われています。 このため、家族に側弯症の人がいる場合は、定期的な検査や学校健診でのチェックがとても重要です。側弯症が原因で起こる体の変化と進行リスク
側弯症は単に「背骨が曲がっている」だけの問題ではありません。進行すると、外見的な変化だけでなく、内臓や神経にも影響を及ぼす可能性があるため、早期の対応がとても重要です。見た目の変化(肩の高さや背中の左右差)
左右の肩の高さが異なったり、ウエストラインが非対称になったりなど、外見の変化が最も分かりやすい初期サインです。衣服のずれやスカートの回り方の違いに気づいて発見されるケースもあります。精神的なストレスや自信の低下
特に思春期の子どもにとって、見た目の変化はコンプレックスや心理的負担を感じるケースもあり、学校生活や自己イメージに影響を及ぼすことがあります。プールの授業を嫌がったり、人前で姿勢を気にしたりする様子が見られた場合は、背骨の状態を確認してみましょう。慢性的な腰痛や背部の痛み
側弯によって筋肉のバランスが崩れると、常に体の一部に負荷がかかり、慢性的な痛みを引き起こすことがあります。大人の側弯症(変性側弯症)では、腰痛や背中のこわばりに悩まされる方も多いです。進行による神経・呼吸への悪影響
側弯が進行すると、背骨のねじれによって脊髄神経を圧迫し、しびれや運動障害が出るケースも。さらに胸郭が変形することで肺が十分に広がらず、呼吸機能の低下を招く場合もあります。 そのため、「進行を放置しないこと」が極めて重要です。側弯症のサインと早期発見のポイント
側弯症の初期症状には痛みがないため、見過ごされがちです。しかし、ご家庭でもできる簡単なチェックによって、早期発見につなげることが可能です。①前屈検査(アダムステスト)
まずは、上半身裸、またはブラジャーのみの状態で、以下の手順で確認しましょう。- 1.両手のひらを合わせて腕を前に垂らす
- 2.膝を伸ばしたまま、ゆっくりとおじぎをするように前屈
- 3.背中、肩、腰の左右の高さに差や盛り上がりがないかを、前後どちらからでも観察
②立位での見た目チェック
次に、まっすぐに立った状態で、以下の点に左右差がないかを確認します。- ・肩の高さ
- ・肩甲骨の位置や突出の程度
- ・ウエストラインのくびれ方
③学校健診も重要な発見の機会
小中学生を対象とした学校健診でも側弯症のチェック項目があります。再検査の通知が来た場合は、自己判断せずに整形外科を相談しましょう。側弯症の検査にはどんな方法がある?
側弯症の検査には、上記で解説した家庭でのセルフチェックと医療機関での専門的な検査の2つがあります。特に、成長期の子どもに多い小児側弯症では、学校での検診やご家庭での観察が早期発見のきっかけになることが少なくありません。 レントゲン検査(X線) 側弯症の検査にはX線検査が不可欠です。背骨の湾曲の角度(コブ角)を測定し、10度以上の側方弯曲が確認された場合に「側弯症」と判断されます。 また、数カ月ごとにX線撮影を行うことで、湾曲の進行具合や改善効果の確認も可能です。 MRI検査 脊髄や神経に異常があるかを調べるために行います。特に先天性側弯や、急激に進行する側弯が疑われる場合に有効です。側弯症の予防ストレッチとセルフケア
姿勢のゆがみや左右差は、日常生活のクセから少しずつ積み重なることがあります。以下のストレッチを習慣にすることで、背骨周りの筋肉バランスを整え、側弯症の予防や進行の抑制が期待できます。①姿勢チェック&全身バランス調整ストレッチ
- 1.鏡の前に立ち、肩やウエストラインの左右差をチェック
- 2.両手を頭の上で組み、真上にグッと持ち上げる
- 3.背筋をまっすぐに伸ばし、ゆっくり深呼吸を3回
- 4.首が前に出ないように注意し、頭が天井に引っ張られるようなイメージでキープ
②胸筋(前側)をほぐすストレッチ
- 壁の前に斜めに立ち、伸ばしたい側(例:右胸)を壁側に向ける
- 右足を一歩前に出して体重を前にかける
- 右の胸がじんわりと伸びる位置で10秒キープ
- 呼吸を止めず、左右それぞれ1〜2セットずつ行う
③わき腹(体側)を伸ばすストレッチ
- 1.右手を頭の上に上げ、左手で右手首を持つ(右側を伸ばす場合)
- 2.そのまま体を左側へゆっくり倒す
- 3.右のわき腹〜体側が伸びる感覚を意識し、10秒キープ
- 4.背中が丸まらないように、少し体を反らせるようにして深呼吸
- 5.左右交互に1〜2セットずつ行う