腰が痛いと思った時、それが単なる疲れではないことがあります。成長期の子どもやスポーツをしている方に多く見られるのが、腰椎分離症という腰のトラブルです。この記事では、腰椎分離症の原因や改善方法、発症したらやってはいけないことについて詳しくご紹介します。
腰椎分離症の原因は?
腰椎分離症は、腰の骨に繰り返し負担がかかることで起こる疲労骨折の一種です。
腰を反らせたり捻ったりする動作や、過度な運動によって腰椎にストレスがたまることでダメージを受けてしまうことが原因となります。まずは、腰椎分離症の原因についてご紹介します。
腰の反り・捻り動作
腰椎分離症の原因のひとつに、腰を反らせたり捻ったりする動作の繰り返しがあります。スポーツや日常の動作で同じような動作を続けていると、腰の骨に少しずつ負担がかかり、やがて疲労によるひび割れのような状態が起こることがあります。
腰を反らす動きの多いスポーツや、無理な体勢を長くとる生活が続くと、腰にストレスがたまってしまうことがあるため、体の使い方には気をつけましょう。
過度な運動
成長期にスポーツの練習のしすぎが腰椎分離症を引き起こすこともあります。骨がまだしっかりと完成していない時期に強い衝撃や繰り返しの動作が腰に加わると、小さな骨のひび=疲労骨折が起こることがあるのです。柔道やラグビーのようなコンタクトスポーツ、野球やサッカーのような繰り返しの動きが多い競技は、特に注意が必要です。ただし、同じように運動していても症状が出ない人もたくさんいます。体のつくりや動かし方の違いなど、個人差も大きいことが特徴です。
遺伝
あまり運動をしていないのに腰椎分離症になる人もいます。その場合、体質や骨のかたちなど、遺伝が関係していることがあります。
兄弟や家族にも腰椎分離症を経験している人がいる場合、遺伝が原因で発症する可能性があります。もちろん、必ず遺伝するわけではありませんが、生まれ持った骨の強さやかたちの違いが、腰への負担を左右することもあるのです。
腰椎分離症になりやすい人の特徴は?
腰椎分離症は、すべての人に起こるわけではありません。発症しやすいのは、成長期で骨がまだ柔らかい10代の子どもや、腰に大きな負担がかかるスポーツをしている人といわれています。なかには遺伝的な体質が影響しているケースもあります。ここからは、腰椎分離症になりやすい人の特徴についてご紹介します。
成長期の子ども
腰椎分離症は、10代の成長期に多く見られる症状です。というのも、この時期はまだ骨が完全に出来上がっていないため、外からの負担に弱い状態にあります。部活動や体育の授業などで、腰に負担がかかる動作を繰り返していると、腰の骨が少しずつ疲れて、やがて疲労骨折のような状態になってしまうことがあるのです。「腰が痛い」と子どもが訴える場合には、ただの筋肉痛と思わず、一度検査を受けてみましょう。成長期は体づくりの大切な時期なので、無理をさせずに体の不調にしっかり向き合いましょう。
スポーツをやっている人
腰椎分離症は、スポーツをやっている人にも多く見られる傾向があります。ジャンプやダッシュ、腰を捻るような動きが多い競技では、腰に強い力が加わることが多く、繰り返しの衝撃が腰の骨に負担をかけてしまうのです。成長期のアスリートでは、発症率が一般の人の数倍に上るともいわれているほどです。しかし、必ずしも運動しているからといって発症するわけではなく、体の使い方や回復の時間をきちんと取っているかどうかも関係してきます。
腰椎分離症を改善する方法は?
腰椎分離症は、早期にケアをすればしっかりと回復を目指せる病気です。症状の進行度によって、安静を中心とした保存療法や、手術による方法が選ばれます。また、腰に負担をかけないストレッチを取り入れることで、回復をサポートすることも可能です。体の状態に合った方法で、無理なく改善を目指していきましょう。
手術療法
腰椎分離症が進行してしまった場合や、安静にするのが難しい方には、手術という選択肢があります。最近では、体への負担をできるだけ少なくする「低侵襲手術」が行われており、小さな切開で分離した部分をネジで固定する方法が一般的です。入院期間も短く、早い人では1週間ほどで退院できることもあります。しかし、分離が進んで骨がくっつかなくなった「偽関節」の状態になると、骨を移植したり、より大きな手術が必要になることもあります。
保存療法
腰椎分離症は、初期の段階で見つかれば、手術をしなくても改善できることが多くあります。その場合、まずはコルセットを使って腰をしっかり固定し、一定期間スポーツや運動をお休みする必要があります。期間はおよそ3ヶ月から1年ほどです。骨がしっかりくっつくよう、無理をしないようにしましょう。体の柔軟性を保つために、ストレッチを取り入れることもあります。もし骨がくっつかず、偽関節になってしまった場合は、痛みの緩和が中心の対処になります。薬や注射などで腰のつらさを和らげることが目的となります。
ストレッチ
腰椎分離症の回復中や予防のためには、ストレッチがおすすめです。
「ジャックナイフストレッチ」という、太ももの裏側(ハムストリングス)を伸ばす運動が推奨されています。筋肉が柔らかくなることで、腰への負担を減らすことができるからです。
しかし、痛みが強い時や、無理な姿勢をとると逆効果になることもあるので、病院の先生などの指導のもとで行いましょう。
腰椎分離症になったらやってはいけないことは?
腰椎分離症と判断されたら、無理をしないことが大切です。痛みをこらえて運動を続けたり、自己判断でストレッチを行ったりすると、症状が悪化してしまうこともあります。また、長時間同じ姿勢をとることも腰に負担がかかる原因になります。ここからは、腰椎分離症になったらやってはいけないことについてご紹介します。
無理な運動やスポーツ
腰椎分離症になったら、無理な運動やスポーツをせずに安静にすることが大切です。すぐに運動を再開してしまうと、骨がしっかりくっつかず、症状が悪化することがあります。
腰を曲げたり捻ったりする動きは、回復中の骨に強い負担をかけてしまいます。スポーツをしている方は早く復帰したいと思うかもしれませんが、今は体を休める時間だと割り切って、指示された期間はしっかりと休むようにしましょう。
腰を捻るストレッチ
先ほど、改善方法としてストレッチをご紹介しました。ただ、腰を捻るようなストレッチは避けてください。痛みのある場所を無理に伸ばしたり押したりすると症状が悪化することがあります。成長期の体は筋肉の柔軟性が落ちやすいので、腰に負担をかけない範囲で他の部分をストレッチしましょう。
ずっと同じ姿勢でいる
腰椎分離症の時には、長時間同じ姿勢で過ごさないように気をつけましょう。ずっと座りっぱなし、または立ちっぱなしの姿勢が続くと、腰に負担がかかって痛みが強くなってしまうことがあります。ときどき体を動かしたり、姿勢を変えたりすることで、血流が良くなり、筋肉のこわばりもやわらぎます。座るときは、背筋を伸ばし、クッションなどでサポートするとより快適に過ごせます。
腰椎分離症でお悩みの方はひらいボディケアにご相談ください!
この記事では、腰椎分離症の原因や改善方法、発症したらやってはいけないことについて詳しくご紹介しました。
腰椎分離症は、成長期やスポーツによって腰に大きな負担がかかることで起こる疾患ですが、早めに気づき、正しい方法でケアすればしっかり回復を目指せるものです。原因やなりやすい人の特徴を知っておくことで、予防につなげることもできます。もし現在、腰椎分離症でお悩みの方は、ひらいボディケアにご相談ください。